ダイヤモンド・サッカー
サンテレビは阪神戦だけでなく、同じく60年代末に始った「ダイヤモンド・サッカー」も放映してました。
最初はイングランドリーグを放映してました。1966年W杯イングランド優勝、1968年アーセナル来日により、イングランドはサッカー母国にして最強国とみなされてました。確かに、テンポの速さ、タックルの強烈さは今でも印象に残っており、さすが“本場”やなあ、と感心しながら観てました。
ところが、1936年ベルリン五輪後イングランド1部の“グリムブズタウン対アーセナル”を観戦した竹内悌三は、
“ 「長蹴、物凄く強いロングパス」「キープ乏し」「インサイドは潰し役」「ミス多し」「唯速し」「極端に反対側迄寄る」「速攻」「物凄いゴールチャーヂ」「簡単なミスキックもある」「ポンポンタッチに蹴出す」「凡失凡蹴揃い」「何でも大まかにウイングへロングパス」「ポヂションにこだわらず」「近い人が飛び込み持ち込む」ハーフタイムの感想-「縦のフットボールインサイドは何時も遅れ気味、三人のFW」「速攻盲目パス逆パス、凡蹴タッチアウト多し」「ファウル気味に迄激し」「チャンスは即時物にす寸隙を襲う」「バスケットボール式」「ロングパスの可成りはFBに献上」-後半のノート「間違えて敵にパスする事あり」「速くして寸劇も止らず、突いたり押したりして蹴出すこと日本に似ている」「頻りにマークせる敵中に蹴込む」「時折見方同志蹴付ける」「LWは右側迄チャーヂに来る」「ゴール前にチャーヂボールを上げては押しかく」「頻りにゴールキーパーをチャーヂす」「盛んに蹴出す」「一騎打式蹴球なり」”
とイングランドの“蹴りあい”サッカーを批判的に評価しています。エリック・バッティも顔負けなことをすでに戦前に書いているんですな。戦前日本のショート・パス・サッカーはイングランド・サッカーを批判的に評価するまでに成熟していた、ということがいえるのではないでしょうか。
しかし、ダイヤモンド・サッカーといえばなんといっても’70W杯。西ドイツ対イングランド、西ドイツ対イタリアの“死闘”、ペレ、トスタン、ジャイルジーニョ、リベリーノらがいたタレント集団で優勝したブラジルに代表される大会かもしれませんが、私の印象に残っているのが、優勝候補筆頭ブラジルの1次リーグ初戦だったチェコ戦。
チェコが狭いスペースでポンポンとショート・パスを通すの観て、“こんなサッカーもあるんだ”と感心したことを今でも覚えています。