科学出版とサッカー
1980年代イングランド1部(現在のプレミア)にマンUやアーセナルと肩を並べてオックスフォード・ユナイテッドがいました。→ http://www.oufc.premiumtv.co.uk/page/History/0,,10342,00.html
3部にいたこのチームを3部、2部を2年連続優勝させて1部入りさせたオーナーがロバート・マクスウェル(Robert Maxwell)。→ http://www.ketupa.net/maxwell.htm
大衆紙『デイリー・ミラー』などを所有するメディア王で、ルパート・マードックと覇を競っていました。ジェフリー・アーチャーの『メディア買収の野望』(新潮社,1996 原題は“The fourth estate”(言論界))はこの2人をモデルにしています。保守党議員でもあったアーチャーは労働党議員だったマクスウェルを悪し様に描いており、保守党寄りのマードックを好意的に扱っています。
小説にも描かれているのですが、マクスウェルが財を築くきっかけとなったのが、敗戦後のベルリンでドイツの名門科学出版社シュプリンガー社(Springer Verlag)の版権を得たことで、イギリスで名門科学出版社となるPergamon社を創業します。『Nature』の版元であったMacMillanの米国支社も所有したことがあったようです。MacMillanの創業一族から保守党の英国首相Harold MacMillanが出ています。
あまり知られていないことなのですが、名声が確立した学術雑誌を保有する科学出版は独占企業で、論文の著者に原稿料を払うこともなく版権を独占し、製品(出版物)の価格を完全にコントロールできるのです。著者が自分の論文を自身のHPで公開しようとすると、逆に出版社に使用料を払わないといけないことがあるくらいです。
→ http://www2d.biglobe.ne.jp/~st886ngw/hasegawa/ssk9909.htm これ以外にも「雑誌 高騰」でググッてみてください。
マクスウェルは1991年怪死(モサドやKGBに消されたという説もある)し、Pergamon社はReed-Elsevierグループに吸収されます。現在科学出版の世界はReed-ElsevierグループとSpringer社に寡占化される傾向にあり、その出版物の価格は世界のインフレ率をはるかに超えています。
ところで、御茶ノ水駅からJFAビル(サッカーミュージアム)に行く途中にSpringer Verlag Tokyoがあります。
→ http://www.springer-tokyo.co.jp/
やはり科学出版とサッカーは近い位置にある・・ ということでオチに
ディープインパクトを見てタニノムーティエを思い出す←(古!)