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日本最初の蹴球文学 大和田建樹「フートボール」

現在のところ私の知るかぎりでは、鉄道唱歌の作詞者大和田建樹の「フートボール」で、『雪月花 散文韻文』(博文館,1897)所収。

“うらうらと霞みわたれる空は。
暮れんとしてまだ暮れず。
ものより帰るさに見れば。
近きあたりの書生なるべし。
五六人ひろやかなる芝生にあつまりて。
フートボール蹴あそぶ処あり。
高くあがりては黄昏月の如くしづかに落ちきたるを。
人々あらそひおしたふしつつ。
我さきにと両手にうけ。
或は蹴そこなひて横に飛ばすを。
かたへの童が馳せゆきて奪ひとるなど。
いとにぎわしき見物なりけり。
彼らがためにここちよげなる春の風は。
時々に来りて熱き顔の汗を吹く。”

5,6人でラグビーのハイパントのようにボールを蹴り上げて手で受けるだけの他愛のない遊びも“フートボール”とみなされていたことがわかります。“人々あらそひおしたふしつつ。我さきにと両手にうけ。”という部分はラグビーに近い感じがします。“黄昏月”とは三日月のような細長い月のことだそうですが、“しづかに落ちきたる”ボールの落ちるさまの形容なのか、はたまたボールの形状なのか?(笑 

1897(明治30)年は東京高師でサッカーが、慶應義塾でラグビーが始まる直前の時点です。大和田は東京高師教授でもあったのですが、1891年に辞職しており、サッカーとの接点はないようです。

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