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1980~1984年 - 底辺の拡大とトップの停滞(1982年)

少年サッカー、高校サッカー人口は拡大し、「やるスポーツ」としてのサッカーは野球並みの国民スポーツとなる。この時期のサッカー本の特色は少年向けサッカー入門書が増加していることで、 1980年代半ばにはサッカー部史のような非売品を除く商業出版物としてのサッカー本の約半数ないしそれ以上を占めるにいたる。 また、高校サッカー人気を反映して、有名高校サッカー部監督の教育論が刊行されている。
一方、代表チームはオリンピック予選に敗退するなど不振で、サッカー選手の伝記として刊行されているのは、釜本のような10年以上前のヒーローである。 釜本、杉山は日本リーグ・チームの監督となり、監督としての立場からのサッカー論を著書として刊行している。
翻訳書としては、ますます守備偏重化する試合内容に対する危機感から、ファンタジーあふれるトップ・プレーヤーの技術を個々に分析した図書や、個人技を重視した指導書が 翻訳されているのが注目される。

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1982年

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一対一に強くなるサッカー・スキル 世界一流プレーヤーの技術 デーブ・スパーデンス/著 谷口博志/訳
東京:日刊スポーツ出版社,1982
254p;19cm

Dave Spurdens著『World soccer skill』(Studio Publications, 1980)の翻訳。著者はイギリス人でFA公認コーチ。奥付けの書名は『サッカー・スキル』。裏表紙に「ペレ、クライフ、ベッケンバウアーなど、世界をリードしたプレーヤーの技術。欧米では円熟した技術をSKILL(スキル)というが、まさにサッカー・スキルのエッセンスが本書。あのクライ・ターンも、ベッケンバウアーの足元へピタリ行くパスも豊富な分解写真で解剖。サッカープレーヤーなら誰でも夢見る、一対一に強くなる技術の集大成。サッカーはチーム・プレーとは言いながら、基本は個人のテクニックにある。もし君が、天才的なドリブラーを目指すなら、ジョージ・ベストが参考になるだろう。そしてストライカーならキーガン、エウゼビオがいる。」とある。
本書によせて(デイブ・セクストン)
はじめに
Ⅰ.ドリブルのハイテクニック リベリーノ=マークを外す ジャイルジーニョ=アウトサイドと見せて... など14例
Ⅱ.トラップのハイテクニック ブリンディシュ=ボールの正面に向くことが第一 リベラ=浮き球を足デキャッチ...など18例
Ⅲ.シュート、パスのハイテクニック チャールトン=足の内側でカーブをかける ベッケンバウアー=アウトサイドで右へ曲げる...など20例
Ⅳ.ジャグリング編 1.ソールで引いて足の甲に 2.両足の爪先でボールを上げる...など23例
Ⅴ.テクニック上達法 初級編 上級編
あとがき
各選手にはプレー中の写真と略歴が付されている。ただし、実技のモデルは別人。約20年前の図書だがまだ絶版になっていないらしく、日刊スポーツ出版社のサイトに本書のより詳しい紹介がある。


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茨城県サッカー協会30周年記念誌 県サッカー協会記念誌編集員会/編
水戸:茨城県サッカー協会,1982
221p;26cm

未見。


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サッカー カラーイラスト 渡辺正夫,古川優三/共著
東京:日東書院,1982
194p;21cm

未見。


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サッカー入門 キミも、名プレーヤーをめざせ! 高橋英辰/著
東京:ナツメ社,1982
174p;19cm (ナツメ・ブックス)

書名の冒頭に「ジュニア版」とあり。難しい漢字にはルビがふられた、児童向けサッカー入門書。
レッスン1.サッカーは紳士のスポーツだ レッスン2.個人技術編・ドリブル レッスン3.基礎技術編・キック レッスン4.個人技術編・ヘディング レッスン5.個人技術編・ボールコントロール レッスン6.個人技術編・タックル レッスン7.ゴールキーパーの基礎 レッスン8.基礎戦術とシステム レッスン9.ワールドカップの歴史・技術・戦術

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サッカーのうまくなる本 基礎編 萩原武久/著
東京:遊戯社,1982
137p;13 x 19cm

萩原武久は東京教育大学卒、筑波大学講師、後に同大学サッカー部監督になる。
メッセージ
先生方へ
A 用具の選びかた B ボールと遊ぼう C ボールを浮かす D ボール・ジャグリング E コーンでおこなう練習(個人) F コーンでおこなう練習(2人) G コーンでおこなう練習(グループ) Hグリッドでおこなう練習 I サークルでおこなう練習 J 全員でおこなう練習 K 楽しいトレーニング L 試合のすすめ方ト審判のシグナル M これだけは知っておきたいルール

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サッカー六十年のあゆみ 創立60周年記念 静岡県立藤枝東高等学校/編
藤枝:静岡県立藤枝東高等学校,1982
152p;31cm

藤枝東高は大正13(1924)年志太中学として開校。創設と同時に初代校長錦織兵三郎はサッカーを「校技」と定める。サッカー王国静岡でも屈指の古豪で、昭和6(1931)年東京文理大主催の中学大会に優勝し、1936年のベルリン・オリンピックには、松永行(東京文理大)、笹野積次(早大)のOB2名を代表に送り込んでいる。戦後は長池実監督時代に黄金時代を迎え、本書刊行までに高校選手権4回、国体2回、高校総体2回優勝、特に昭和41(1966)年は三冠王に輝いた。
詩(小川国夫)
校歌
蹴上王者の像
発刊記念あいさつ(校長 曽根雄一、藤枝市長 飯塚正二 、学校後援会会長 山口森三、サッカー後援会会長 鈴木一夫、サッカーOB会会長 後藤美喜保、同窓会会長 松永臻、PTA会長 小沢博)
昭和41年度全国高校サッカー選手権
オリンピック(ベルリン)
オリンピック(東京-メキシコ)
サッカーの黎明期(大正13年)
戦前の黄金時代(昭和3年~昭和19・20年)
復興期(昭和21年~昭和27年)
再び黄金時代をめざして(昭和28年~昭和31年)
ついに全国の頂点へ(昭和32年~昭和40年)
偉業3冠王達成(昭和41年)
雌伏の日々(昭和42年~昭和44年)
甦る栄光(昭和45年~昭和49年)
日中友好親善試合(昭和50年)
蹴上王者をめざして(昭和51年~昭和56年)
伝統の力ここに(昭和57年)
特別寄稿(宮崎作次、小宮山宏、伊村隆恵、松永信夫、岩田規、橋本守、後藤昭治、鈴木達郎、長池実、山田良、菊川凱夫、渡邉福太郎、入谷恭市)
藤枝東高沿革史
本校が生んだ全日本選手
編集後記(参考資料及び資料提供者)
主として写真とその説明。志太中学時代の昭和9(1934)年には郡下小学校蹴球大会を開催している。


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写真で見るサッカーの歴史 グローバル・スポーツそのメモリアル・シーン ロジャー・マクドナルド/著 サッカー・マガジン編集部/訳
東京:ベースボール・マガジン社,1982
162p;30cm

Roger Kenneth Macdonald著『Soccer : a pictorial history』(Collins,1977)の翻訳。著者はイギリスBBCTVのプロデューサーでサッカー史に関する多数の著作がある。 英国図書館と米国議会図書館のデータベースでみるかぎり、原著は1977年刊行で改訂版はでていないようだが、訳書では1978年のW杯やマラドーナまでカバーされている。訳者が加えたのでもないようだ。また、訳書にはないが、原著にはBobby Mooreの緒言があった。
口絵 世界のスーパースター列伝/伝説の名手からマラドーナまで
“貴族階級のスポーツ”時代
プロ化への発展
フットボール・リーグの創設
ルールと技術の変遷
サッカーは英国旗とともに
欧州サッカーの急成長
ワールドカップ1930~1938
ハンガリーの黄金時代
ワールドカップ1950~1974
欧州カップ
ワールドカップ1978
サッカー報道の拡大
激変する世界のサッカー環境
歴史に残る名勝負
世界サッカー主要記録
この種の図書にありがちな単なるW杯史ではない。サッカー史が豊富なエピソードと写真とともに論理的にわかりやすく記述されている。例えば、1925年のオフサイド・ルール改正は、
1)サッカーのプロ化→2)勝負への過度のこだわり→3)オフサイド・トラップの多用によるゲームの寸断と少得点化 →4)オフサイド・ルールの改正→5)ゲームの多得点化→6)アーセナルの名監督チャップマンによるMWシステムの発明
というふうに、結果の羅列ではなく、因果関係が明快かつ具体的(旧ルールによるオフサイド・トラップを考え出したチーム名や選手名とその渾名まで)に叙述されている。特にイギリス・サッカー史に詳しく、明治期のサッカー本の参考書の著者C.W.Alcockに関する情報もある。BBC関係者の著者の視野は広く、サッカーとマスコミとの関係や社会問題にまで及んでいる。文章はイギリス風ユーモアが散りばめられ、随所に著者の博識が顔をのぞかせる。サッカー史の名著の一冊といえよう。


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サッカー物語 山梨日日新聞社/編
甲府:山梨日日新聞社,1982
499p;22cm

ご存知中田英寿の母校韮崎高校のサッカー部史。もちろんこの時点で中田は在籍していない。編集兼発行者は山梨日日新聞社だが、奥付けには非売品とある。韮崎高校は昭和11年に全国中学選手権で準優勝するなど、戦前からの名門校で、戦後も国体で2回、インターハイで1回優勝、高校選手権では3回準優勝している。
発刊にあたって(岩崎鋭市郎)
名門への第一歩
黄金時代来たる
全国制覇の夢
熱戦の決勝
暗い時代
再スタート
番狂わせ
日本一
東日本の覇者
猛練習
監督不在
単独日本一
新監督
地元で優勝
準優勝
“優勝候補”の重圧
韮崎高等学校サッカーの歴史(佐々木正夫) サッカー物語を祝す(原一造) 目指せ全国制覇を(内藤登)同窓生の精進に敬意(川手良萬) 韮高創立六十周年の年頭にあたって - イレブンの足跡を思う -(横内文明)大応援団の草創とその一幕(三井鉄弥) 全国優勝の裏方先生方(小林勝意) 走馬燈のごとくに - 思い出のくさぐさ -(小田切勝)思い出(小林貞雄) 厳しく温かいサッカーの環境(田草川光男) 伝統(野崎鉄平) 韮高魂の意地示す(横森巧) あとがき(水上恵幸)
対外試合戦績表
韮崎高等学校略年譜
韮葉サッカークラブ名簿
戦前の名門校の指導者は高師出身者が多いが、初期の指導者岩崎鋭市郎は日本体操専門学校(現日本体育大学)卒で専門は剣道という異色の人物。「岩崎は剣道五段、水泳も上手だった。しかし、サッカーはずぶの素人であった。当時はサッカーの参考書すらほとんどなかった時代である。岩崎はわずかな運動書籍の中から佐々木等著の「蹴球」を探し、この書をトラの巻のように読んでは、生徒に知ったかぶりをして教えた。」そうだ。本書が刊行された昭和57年は創立60周年。昭和55~57年にかけて高校選手権連続ベスト4進出、昭和55、57年は準優勝と黄金時代であった。昭和57年の準優勝メンバーには大柴、保坂、羽中田などがいる。
『高校サッカー60年史』(1983)の中で日本テレビ編成部の務台猛雄が寄稿している「高校サッカーと民放テレビ」と題する手記によれば、昭和57年の決勝(対武南高校 0-2)の視聴率は甲府市・韮崎市平均で88.5%(東京では10.6%)だったそうだ。


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蹴球部創設四十周年記念誌 青森県立三本木農業高等学校蹴球部OB会/編
十和田:青森県立三本木農業高等学校蹴球部OB会,1982
150p;26cm

サッカー部の創設は昭和17年。本書刊行時点で国体とインターハイには出場しているが、選手権には未出場。
発刊にあたって(阿部正志)
記念誌発刊を祝して(三浦啓一)
サッカー部40周年を祝す(嶋本利三郎)
三農高蹴球部40年史の刊行に寄せて(江渡達男)
旧校舎/新校舎/校旗/部歌/校歌/部歌/三農高行進曲
三農高蹴球部O・B会々則
歴代部長の回想(江渡達男・久保吉也・新井山準・三浦寿太郎・斉藤正規)
青森県サッカーのいしずえ
O・B会員の思い出(附田文一・川村健蔵・下山十・板垣弘一・富浦禊吉・高屋三郎・小林貴一郎・工藤猛夫・目時重則・森功・田名部光正・小泉光弘・田名部幸也・桜田幹夫・桑原義方・桜田和彦・気田好人・中野渡正光)
三農サッカー部歴代主将及び部長
活躍したメンバー
競技記録にみる40年
大会記録
歴代部員住所録
編集後記
記念誌協賛者名簿
全国的な強豪ではないので、県内他校との対戦の回想が多い。鹿島の熊谷は同校OB。


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ミニサッカーのいろいろ
東京:遊戯社,1982
127p;13 x 19cm

編集者は日本ミニサッカー連盟会長多和健雄ほか7人。日本ミニサッカー連盟は昭和52(1977)年に結成された。
まえがき
凡例
第1編 いろいろなミニサッカー 基本となるルール 8人制ミニサッカー ガーデンフットボール サロンフットボール ソフトサッカー インドアサッカー
第2編 いろいろなサッカー遊び 1人のサッカー 2人のサッカー 3人のサッカー 4人のサッカー 6人のサッカー

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理想のサッカー 完全なる技術と戦術 ゲルハルト・バウアー/著 軍司貞則/訳
東京:日刊スポーツ出版社,1982
170p;19cm

Gerhard Bauer著『Fussball perfekt : vom Anfanger zum Profi』(Verlagsgellschaft, 1976)の翻訳。上記は表紙の書名。 表紙には『Soccer techniques and tactics』ともある。標題紙の書名は『世界一流プレーヤーの練習と実践を中心にした理想のサッカー』。 著者は西ドイツサッカー協会公認コーチ。訳者の軍司貞則はノンフィクション・ライター。
はじめに 「今日のサッカー」
第1章 テクニックとその基本練習 1.インステップキック 2.インフロントキック 3.アウトフロントキック 4.ボレーキック 5.インサイドキック 6.ヘディング 7.ボールの飛ぶコース 8.ボールに変化をつける 9.ボールのストッピング、トラッピング及びその後の処理 10.パスを送る前段階としてボールをキープするようなゆっくりしたドリブルと、ゾーンをつなぐような早いまっすぐなドリブル 11.相手を抜き去るためのドリブル 12.効果的なフェイントとトリック 13.タックル 14.ゴールキーパーのテクニック
第2章 サッカーの練習・トレーニング方法における原則 1.基礎練習 2.ゲーム形式のトレーニング 3.複合トレーニング
第3章 戦術 1.一般戦術 2.ポジション別の戦術(ゴールキーパー)
第4章 サッカーのシステム 1.オフェンシブ・システム 2.WMシステム 3.424システム 4.442システム 5.433システム 6.システムと戦術
あとがき
本書も絶版になっていないようで、日刊スポーツ出版社のサイトに本書のより詳しい紹介がある。


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わが子のこころが見えますか いまナウなサッカー共育論 大貫哲義/著
東京:講談社,1982
237p;19cm

未見。

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