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1980~1984年 - 底辺の拡大とトップの停滞(1983年)

少年サッカー、高校サッカー人口は拡大し、「やるスポーツ」としてのサッカーは野球並みの国民スポーツとなる。この時期のサッカー本の特色は少年向けサッカー入門書が増加していることで、 1980年代半ばにはサッカー部史のような非売品を除く商業出版物としてのサッカー本の約半数ないしそれ以上を占めるにいたる。 また、高校サッカー人気を反映して、有名高校サッカー部監督の教育論が刊行されている。
一方、代表チームはオリンピック予選に敗退するなど不振で、サッカー選手の伝記として刊行されているのは、釜本のような10年以上前のヒーローである。 釜本、杉山は日本リーグ・チームの監督となり、監督としての立場からのサッカー論を著書として刊行している。
翻訳書としては、ますます守備偏重化する試合内容に対する危機感から、ファンタジーあふれるトップ・プレーヤーの技術を個々に分析した図書や、個人技を重視した指導書が 翻訳されているのが注目される。

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1983年

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男は勝負 ゼロからの出発 杉山隆一/著
東京:講談社,1983
256p;19cm

杉山隆一は清水東高校、明治大学卒、東京、メキシコ両オリンピック代表の名ウイング。しかし本書は選手時代の回顧ではなく、 社会人サッカーの ヤマハ監督としての体験を綴ったもので、「はじめに」には「本書で私が、主としてここ九年間の監督体験をありのままに公開して訴えたい真意、 それは「男の勝負に負けるな!」、そうすれば必ず社会の勝者になれる!ということにほかならない。」とある。
第1章 ゼロからの出発 監督をやっていてよかった!「天皇杯」獲得 現役引退を決意した前後のこと ぐっときた会社のサッカー部への期待 あまりにも大きすぎたギャップ 学校では何を躾られてきたのだろう シゴかれたほうが身の為になる 話は眼で聞け、耳だけで聞くな 女を取るか?サッカーをとるか? 予想以上に早かった十年計画第一段階の達成
第2章 六年目、日本リーグ一部入り 実力ある無名をスカウト 長所は短所をもカバーする クラマー語録「単純が一番!!」 パーソナリティーのむつかしさ 指導者+教育者が監督業 無茶を承知の「YFL」加入交渉 ユニホームへの決別 「東海の暴れん坊」誕生 地獄の前期、天国の後期 一部への道、最良のスタート 一部入り決定のゲーム、長い長い闘い
第3章 ショックの二部転落 現状に満足したら現状から後退する してやられた釜本のハットトリック ベテランと新人の噛み合わせが不十分 職業的な自覚があるからプロなのだ 二年目に強まった相手のプレッシャー 精神的に立ち直れずズルズルと最下位に
第4章 どん底から日本一へ 一部復帰への猛練習宣告 純血主義を貫く コーチのコーチ、ハンス・オフト 首位で折りかえせた二部リーグ前期 「W杯」エスパーニャ’82を旅する 私流からヨーロッパ流へ 成功した「ゲームキャプテン」 「A」「B」チーム制の決断 後期一気に突っ走って二部優勝 一対一に競り負けぬ「攻撃的守備」 四試合失点ゼロ、会心の「天皇杯」獲得!
第5章 男の人生は人間勝負 「努力」から「心技一体」の信条へ 教えを待つ者と創りだしてゆく者との差 心身を鍛えあげればケガにも強くなる 青少年が大志を抱けるようなサッカーを! 「’83ジャパンカップ」で燃えた闘志
あとがき
付 昭和58年度ヤマハサッカー部選手名鑑
ヤマハ発動機サッカー部(現ジュビロ磐田)の発足は著者監督就任の2年前。文字どおりゼロからの出発で、静岡県二部リーグ→同一部リーグ→東海リーグ→日本リーグ二部→同一部ととんとん拍子に昇格した。 本書が刊行された年の天皇杯で優勝もしている。 助っ人外国人獲得にほ会社上層部の方が熱心で、チームの士気を心配した著者は強制されれば辞任する気でいたそうだ。代わりに招いた外国人コーチがハンス・オフト。 現ジュビロ監督の鈴木政一は選手時代から将来のコーチ候補として著者が目をつけていたとのこと。ジュビロ磐田前史でもある。


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輝く埼玉サッカー75年の歩み 埼玉サッカー創始75年記念誌 埼玉県サッカー協会/編
浦和:埼玉県サッカー協会,1983
1547p;27cm

埼玉のサッカーは明治41年東京高師OB細木志朗が埼玉師範に赴任して始まる。昭和12年には埼玉師範が現在の高校選手権の前身、全国中等学校蹴球選手権に関東の学校として初優勝、以来サッカー王国として今日に至る。
巻頭言(福永健司)
祝辞(畑和、長井五郎、野津謙、平井富三郎、小野卓爾、長沼健、岡野俊一郎、河村郷四、大石益光、福田篤泰、志村巖、中村由蔵、吉川正就、栗原傳次郎、高島朗、増田敏男、青木正久、武政宏、佐藤幹夫)
Ⅰ.埼玉サッカーの黎明 1.埼玉サッカーの生い立ち 2.埼玉サッカーのあけぼの 3.埼玉サッカーの礎 4.昭和初期のサッカー 5.輝く埼玉県師範学校の全国制覇 6.浦和高等学校(旧制)のサッカー 7.埼玉県下各中等学校蹴球部の発足と活躍 8.盛んだった学童サッカー 9.戦時下の体育・スポーツ
Ⅱ.興隆の埼玉サッカー 1.埼玉県サッカー協会の結成と活躍 2.埼玉県選手のすばらしい活躍 3.国際的な優秀選手の活躍 4.多彩なサッカー大会の開催 5.60回に及ぶ華やかな国際サッカー大会の開催 6.埼玉県下各地のサッカー 7.サッカー専用グランドの建設と拡充 8.表彰された人々 9.埼玉県サッカー協会の現況
Ⅲ.これからの埼玉サッカー 1.協会組織の一層の充実 2.本県選手の競技力の向上 3.優れた指導者の養成とその活動 4.審判員の増強と審判技術の向上 5.社会人サッカーチームの振興 6.サッカー少年団の健全育成 7.女子サッカーの発足と今後の育成 8.サッカー専用グランドの建設と拡充 9.熱心なサッカーファンの増加を図る 10.永遠に輝くスポーツ埼玉のシンボルに。そして日本のサッカーの最強の基盤に。
輝く埼玉サッカー75年の歩み(抄)
編集を終わって


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高校サッカー60年史 全国高等学校体育連盟サッカー部/編
[東京]:全国高等学校体育連盟サッカー部,1983
269p;27cm

表紙に『The history of Japan high school soccer』という英文書名もある。 製作・発売は講談社。 現在のいわゆる高校選手権は大正7(1918)年日本フートボール大会ア式の部として始まった。 名称が示すように現在花園で行われているラグビーの部が別部門にあった。この名称で実施された第1回~8回(大正7~14年)は近畿地方の学校のみが参加。第9回(大正15年)から 全国中等学校蹴球大会と名称が変わって、文字どおり全国大会となり、第26回(昭和22年)まで続く。学制改革により第27回(昭和24年)から全国高等学校蹴球選手権大会になり、 さらに第45回(昭和41年度)から全国高等学校サッカー選手権大会と名称が変わる。昭和41年までは毎日新聞が主催、昭和50年度まで近畿地方(兵庫県、大阪府)が会場だったが、 昭和51年度から首都圏に移る。
栄光の足跡
序 (野津謙、平井富三郎、鈴木英久、川口玲雄)
全国高等学校サッカー選手権史
全国高等学校総合体育大会サッカー競技史
国民体育大会サッカー競技少年の部史
3大大会の上位校および全国大会出場校
選手権史には「こんな時代もあった」「関西で育んだ50余年」という座談会、「個人技を高めよ」(神田清雄)...他45編の随想、さらに「手記・高校サッカーと私」 (落合弘、岡野俊一郎、釜本邦茂、務台猛雄、松永章、西堂就)が付されている。先に『全国高校サッカー40年史』が刊行されており、それから再録されているものもかなりあるようだ。 選手権、高校総体(インターハイ)は全試合の結果とその出場選手が掲載されている。国体は全試合結果と優勝チームのメンバーが掲載されている。


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サッカー 大石三四郎,山中邦夫/著
東京:ぎょうせい,1983
395p;22cm (現代スポーツコーチ実践講座;9)

「はしがき」に「この本は、サッカーに取り組んでいる指導者、コーチ、そしてプレーヤーを対象に、「技術(Technique)のゲーム(Game)への活用」をテーマとしてまちめたものである。」 とある。
刊行のことば
はしがき
序にかえて - システム論(大石三四郎)
第1章 サッカーの特性と中学・高校期のサッカーゲーム 1.サッカーの起源とその変遷 2.サッカーの特性 3.中学・高校期のサッカー
第2章 サッカーの基礎技術 1.キック 2.トラッピング 3.ドリブル 4.フェイント 5.ヘッディング 6.スローイン
第3章 サッカー技術の応用 1.スキルフル・プレーヤへの道 2.ボール・ジャグリング 3.キック 4.トラッピング 5.フェイント 6.ヘッディング
第4章 ゴールキーパーの技術・戦術 1.ボールを伴わない守備戦術 2.ボールを伴う守備戦術 3.ゴールキーパーのトレーニング 4.ゴールキーパーの戦術
第5章 サッカーの戦術 1.チームの戦術 2.グループの戦術 - 攻撃 3.コンビネーション・プレー 4.ミニ・ゲームの活用
第6章 サッカーの補強のためのトレーニング 1.柔軟運動 2.フィットネス・トレーニング 3.複合トレーニングの実際
第7章 練習計画とチーム作り 1.練習計画の考え方 2.長期的トレーニング計画 3.年間計画 4.チーム作り 5.合宿 6.試合
参考資料
中学・高校教師向けサッカー指導書。実質上の著者は山中邦夫。巻末の参考資料は参考文献ではない。


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サッカー マンツーマン・コーチ 成田十次郎/著
東京:西東社,1983
204p;19cm (スポーツ・シリーズ)

「はじめに」に「本書は、サッカーの楽しさを味わいながら、自分たちでグループをつくり、練習し、ゲームをするのに役立つよう意図して筆をとったものです。 説明は簡単にして要領よく、しかも豊富なイラストと写真で構成しましたから、どなたにも理解していただけるはずです。」とある。
Part1 サッカーに慣れる 1.遊びながらボールに慣れよう 2.簡単な試合をしよう 3.ボ-ル・リフティング 4.足の裏でボールを扱ってみよう
Part2 個人プレー・レッスン 1.キック 2.ヘディング 3.ストップとトラップ 4.ドリブル 5.フェイント 6.ボールを奪う 7.スローイン 8.ゴールキーパーの技術
Part3 チーム・プレー・レッスン 1.フライラウヘン 2.パス 3.シュート 4.攻めの基本 5.守りの基本
Part4 ゲームの準備と組み立て
ゲームの準備 1.システムと選び方 2.各ポジションの特性とチームづくり 3.ゲームに備えた作戦
紙上実戦教室 A.ゴール付近での攻防 B.中盤での攻防 C.効果的な速攻
Part5 トレーニングと練習計画 基礎体力トレーニング トレーニング計画 サッカー用語の解説

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サッカーで学べ!おまえたち 古沼貞雄/著
東京:講談社,1983
243p;19cm

著者は帝京高校サッカー部監督、都立江戸川高校、日本大学卒、サッカー経験は高校でかじった程度とのこと。帝京高校は本書刊行時点で選手権優勝3回、 インターハイ優勝2回。
まえがきにかえて いまこそ全人間的な教育を!
第1章 校内暴力は防げる! いま教師に必要なこと
第2章 なにが子どもを非行に走らせた? おとな、親、指導者の罪と使命
第3章 帝京高校サッカー部の歩みとともに スポーツで学べ、おまえたち!
高校サッカー部監督が単独著者の著作としてはこれ以前に藤枝東高校監督長池実による指導書 『サッカー教室』(1973)があるが、 本書は著者の知名度を生かした教育論として刊行されている。高校サッカー人気の高まりを示している。


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サッカー人間学 マンウォッチング2 デスモンド・モリス/著 白井尚之/訳
東京:小学館,1983
319p;28cm

Desmond Morris著『Soccer tribe』(Jonathan Cape, 1981)の翻訳。著者は動物行動学的な視点から人間行動を観察したベストセラー『裸のサル』で名高い 動物行動学者で、自伝を含めて約40点近い著作が日本で翻訳されている。岡野修一郎監修。
監修者まえがき
サッカー部族とは何か
部族のルーツ 部族の起源 サッカーのさまざまな顔
部族の儀式 掟 なわばり タブー 罰 戦略 戦術 部族の集会 中心儀式 儀式のクライマックス 勝利の祝い
部族の英雄 英雄の背景 英雄の人格 英雄の動機づけ アウェイ・ゲーム症 ゲームズマンシップ 英雄の技能 英雄の迷信 英雄の勇敢な行為 勝利のディスプレイ 英雄の敗北 英雄の社会生活
部族の装飾 ボール 服装 色彩 紋章 トロフィー
部族の長老 部族の理事会 部族の裁判官 部族の呪術医
部族の随行者 随行者の階層 随行者の装飾品 随行者のディスプレイ 随行者の暴力 部族の災難 英雄崇拝 部族の記念品 部族のマスコット 部族の露出狂
部族の言語 部族のことば 部族の歌 むすび
参考文献
索引
サッカーを現代における狩猟や中世の戦争の代替物、宗教的祝祭にみたてることは、ことさら目新しい視点とはいえないかもしれないが、著者の記述とともに それを例証する多数のカラー写真が付されていて、視覚的に楽しめる本になっている。ユニホームに視覚的な威嚇効果がある例として黄色と 黒の縦縞ユニホームとスズメバチの写真を並べているような例もあるが、『裸のサル』のような動物生態学的な「みたて」の面白さはほとんどない。 英語(イギリス)を主体に約130件の参考文献があげられている。著者自身イングランド・リーグの試合で応援歌の採集録音などを試みている。 イングランド・リーグではのべつ幕なしに応援歌が歌われている印象があるが、著者の分析によれば、合唱回数は1試合あたり平均147回、57曲で、60% は試合の流れに無関係に歌われているとのことである。


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サッカー入門 すぐおぼえられる 轡田三男/著
東京:秋田書店,1983
178p;20cm (カラー版ジュニア入門百科)

未見。


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球蹴りせんとや生まれけん 前田安子/著
[ ]:前田雄三,1983
107p;22cm

未見。


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日本サッカー狂会20年の歩み 日本サッカー狂会/編
東京:日本サッカー狂会,1983
8p;26cm

日本代表サポーターの草分け、日本サッカー狂会の20年史。『Football』臨時増刊。
創立二十周年を迎えて(池原謙一郎)
祝辞(長沼健)
狂会に入会した頃(坂入浩一)
日本の出ない試合に熱狂した話 狂会中世史こぼればなし(田中成男)
日本サッカー狂会の20年と応援の移り変り ニッポン!チャチャチャの由来(池原謙一郎)
二十周年にあたり技能賞を贈ります(牛木素吉郎)
長く続けたいサッカー狂会(鈴木良韻)
狂会略年表
サッカー狂会 AからZまで

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不滅のサッカー王 釜本選手とその仲間たち
東京:大陸書房,1983
238p;19cm

著者は13年前に『サッカーマガジン』誌に名選手物語を連載していた。「あとがき」に「読者諸氏のご要望に応え、釜本選手をはじめとするかつての 全日本を背負った“若き獅子たち”に、敢て再登場を願ったのは、今の世に欠けがちな、それら大事なものを、獅子たちの生き様から汲みとり、 原点を見詰め直すことで日日の糧として欲しいからに他ならないのである。」とある。
第Ⅰ部 釜本邦茂物語 わんぱくカマッチョ 行け!走れ!カマッチョ 小さいファイター 背番号0のスタミナ 苦闘へのステップ 迷いの分岐点 虹の目標をつかめ “若きプリンス”の誕生 世界への大きな夢
第Ⅱ部 栄光の名選手物語 栄光への俊足 杉山隆一 ゴールを守る我慢大将 横山謙三 無限のステップを踏む 小城得達 華麗なる技巧派 ネルソン吉村 体当たりトレーニング王 森孝慈
あとがき
少年向きの教訓に満ちた名選手物語。 この時点で10年以上前のヒーローの伝記がでるということは、スター不在を意味している。


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わかりやすいサッカーのルール 安田一男、上野俊幸/共著
東京:成美堂出版,1983
190p;15cm

著者は日本サッカー協会審判委員会委員。「はじめに」に「本書は、競技規則をできるだけ多くの人に理解してもらうための入門書である。今から審判員を志す人はもちろん、コーチ、競技者を志すかたがたにも、大いに活用していただきたい。」とある。
1.競技場 2.ボール3.競技者の数 4.競技者の用具 5.競技時間 6.競技開始 7.インプレーとアウト・オブ・プレー8.得点 9.オフサイド 10.反則と不正行為 11.フリーキック 12.ペナルティ・キック 13.ペナルティマークからのキック 14.スローイン 15.ゴールキック 16.コーナーキック17.審判とその任務 18.主審 19.線審 20.対角線式審判法 21.主審と線審のシグナル22.予備審判 23.主審・線審・予備審判の打ち合わせ事項 24.公認審判員制度について
オフサイドに関しては「オフサイドに関する図解20例」が付されている。

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