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日本サッカー通史の試み(27) 極東選手権初優勝

27. 極東選手権初優勝

27.1 代表の選考

 1930年第9回極東選手権は東京で開催された。開催国として必勝を期した大日本蹴球協会は前年1929年7月17日の理事会で選考方針を決定し、同年度のシーズンの成績をふまえて、1930年3月18日代表候補選手を発表した。1930年4月1日~22日に第1次合宿を行い、5月12日には大会宿舎の日本青年館入りして第2次合宿を始めるという万全の準備を整えた。

 まず代表候補を選び、その中から決定した代表15名は東大9名、早大3名、関学2名、慶大1名で、東大OBの竹腰重丸を除いて全員現役大学生であった。この代表は、前回までと異なって予選会方式ではなく、1929年度の大学リーグ戦の戦績により、ピックアップ方式で選考された。東京コレッヂリーグ4連覇中で、前年から始まった第1回東西大学争覇戦でも関学を破って「日本一」になった東大主体でチームが編成された。東西大学争覇戦のようなトップレベルにおける東西交流を反映して関学からも2名選考され、「全日本」的なチーム編成となった。監督は早大OBで大日本蹴球協会常務理事(筆頭理事)の鈴木重義、主将は東大OBで大日本蹴球協会理事の竹腰重丸。

 代表選考における大学リーグ戦と東西大学争覇戦の徹底した重視と代表監督・主将の人選は、前年の協会理事改選によって大学勢が協会運営の主導権を握ったことを反映したものであろう。リーグ戦重視の代表選考は現在と変わらなくなったのだが、この選考法はすぐには定着せず、この後「代表選考参考試合」なるものができて、1930年代の代表選考は迷走することになる。

27.2 大会の結果

 結果は対フィリピン7-2対中華民国3-3であった。フィリピンには完勝し、中華民国とは激戦の末引き分けた。1929年5月29日の対中華民国戦は明治神宮外苑競技場を満員にし、名勝負は日本サッカー史上最高の試合として高く評価され、サッカーファンを増やしたといわれる。日本と中華民国はともに1勝1分けで同位優勝となった。

 監督鈴木重義と2試合とも先発出場している竹腰重丸、本田長康、春山泰雄は初勝利した前回大会から連続出場で、チョー・ディンの直伝を受けた人々である。竹腰重丸はその著書『サッカー』(旺文社1956)において、この頃日本のショート・パス戦術が完成したと述べている。

“その時代に日本の参加する唯一の国際試合であった極東選手権競技大会には、常に敗退を続けていたのであったが、昭和二年(一九二七年)上海での第八回大会に至って、早大W・M・Wを中心とする日本代表が初めてフィリピンに勝ちえたのは、このショート・パス戦法の発展期に当っていた。”

“東京大学を中心に編成した昭和五年(一九三〇年)の東京での第九回極東大会への出場チームは、中華民国に対して常に一点リードしながら、ついに三対三の引分けに終ったのは、中華民国の強力なウィング・フォワードに対する日本側のマークが徹底せず、その活躍を許した結果であると思われる。

 ショート・パス戦法と呼ばれるいき方は、昭和五年(一九三〇年)ごろがその完成期であったといってもさしつかえなかろう。”

 ショート・パス戦術の完成とともに日本は極東の頂点に立った。その後もショート・パス戦術は日本の基本戦術となり、サッカーの日本スタイルが定着する。

 試合の詳細については後藤健生『日本サッカー史・代表篇 : 日本代表の85年 : 1917-2002』(双葉社 2002)、山田午郎「覇権を目指して(結) 極東大会回顧」 『蹴球』第2巻第2号 1934.4 p.32-37 を参照されたい。

 なお、「引き分け同位優勝」の経緯については別項で詳述する。

27.3 全体の結果

 全体の結果は以下の通りである(左から1、2、3位)。

陸上(個人):日 比 中
陸上(団体):日 比 中
水上:日 比 中
野球:日 中 比
テニス:日 中 比
サッカー:日・中同位 比
バスケットボール:比 日 中
バレーボール:中 比 日

2年前、1928年オリンピック・アムステルダム大会の三段跳びと200m平泳ぎで初の金メダルを獲得して意気上がる開催国日本が、バスケットボール、バレーボールを除く全種目で優勝し、総合優勝した。バスケットボールはやっと最下位を脱したが、バレーボールは地元開催の本大会でも初参加以来の最下位を続けた。


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