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嘉納治五郎談「冬期の好運動 蹴球奨励の意義如何」『東京朝日新聞』1918年1月29日付

冬期の好運動 
    =蹴球奨励の意義如何
    ▽弱い日本人はまず体を
    ▽鍛えてから蹴球を練習
    関東蹴球大会名誉会長 嘉納治五郎氏談

東京蹴球団主催、本社後援の関東蹴球大会に名誉会長たる嘉納治五郎氏蹴球に就て語る『冬期の運動として蹴球の右に出るものはあるまい。由来冬期には適当な戸外運動が少ないので兎角家に許り引っ込んで居る様な事になるが、蹴球は冬季の運動として雪の上でも出来るし、運動が猛烈であるから寒気に対して抵抗的な防寒にもなる。春や秋は別に運動を特別奨励せずとも気候に唆られて人々は家の中に引込んで居られなくなるから自然に運動にもなる訳だが冬期はどうも運動が不足になり易い。故に運動は冬季に於て十分に奨励せねばならない。乃で高師では昔から此の冬期の運動に最適な蹴球を奨励して居る訳だ。然も蹴球は徹頭徹尾団体的運動で各人の共同一致、連絡等の事が一つでも欠けて居ては優秀なチームとは謂へないのだから、教育的に考へても最も好い運動だと信じて居る。然し蹴球は其の運動法が非常に猛烈で普通の日本人には激し過ぎる傾きが無いでもない。だから優秀な蹴球選手たるには先づ他の運動で相当の体力を養って置く必要があると思ふ。先づ虚弱な人は体操をやり、少し強くなったら競走に移り、更に柔道を稽古したりして体力を作ってから此の蹴球を行るのが順序だと思ふ。所で米欧人は蹴球を運動の上乗として猫も杓子も行る。現に日本に来て居る英国大使館員には五十歳を越した人で盛んに行って居る。日本人も蹴球が十分に出来るやうにならなければ駄目だと私は常に思って居る。』

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