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観衆は一足先に南米化 1968年対アーセナル戦第3戦

『朝日新聞』1968年5月30日付

六万八千の大声援
   天井知らずのサッカー観客
      お行儀の悪さも“新記録”

 ○・・・二十九日の国立競技場は、六万八千人の観客が押寄せ、さすがのマンモススタンドもほとんど埋めつくされた。第一戦の五万八千人を一万人オーバーしただけでなく、東京五輪の決勝、チェコ対ハンガリーの六万六千人を上回り、日本サッカー史上最大の観客動員となった。国内のサッカーで六万以上の観客を動員したのは、昨年十月のっメキシコ五輪サッカーアジア地域予選の日本‐韓国戦など三度目。この夜、プロ野球っは東西で六試合やったが、観客は全部で約七万人で、このサッカー一試合とほぼ同じ。むろん国際試合という特殊性はあるにしても、何年か前には想像もできない人気だ。

 ○・・・試合も日本が激しい闘志を見せ、クラマー・コーチも「インタナショナル・マッチ!!」というほどの盛上りを見せたから、六万八千のファンもすっかり興奮。スタンドからはしきりに紙テープを投げていたが、これが競技場備えつけのトイレットペーパー。つけけても、つけかえても消えてしまい。国立競技場側では約三百本も使われたとプンプン。

 また。試合終了後のスタンドは例のごとく紙くずの山。約三十人の清掃員をかり出して、跡始末にあたったが、午前二時までかかり、紙くずはトラック五台分も出たとか。「お客もフェアプレーで願いたいですねえ」と競技場側は頭をかかえていた。”

『朝日新聞』1968年5月31日付「観覧席」欄

節度を失った観衆 日英サッカー

 日本人だから日本チームの勝利を願うのは当然のこと。だが、スポーツでの国際親善試合の応援には、おのずと節度とマナーが必要だし、過去の日本ではそれが守られ、われわれはこれを誇りにしてきた。ところが二十九日のサッカー、アーセナルとの第三戦での応援には、ひいきのひき倒しのような荒っぽいものが多く、やや暴走のきらいがあった。

 イギリス選手が負傷したり、エラーし、しりもちをついたりすると、これをやじる歓声は、スタンドをゆるがすばかり。トイレットペーパーが飛び、花火が鳴る。イギリスのきれいな得点には拍手もまばら。相手がプロだからといってもファインプレーをたたえるぐらいのゆとりが欲しいし、相手のきわどい失敗にはタメ息をつくくらいあってもいいのではないか。実際この日の観客に、サッカーの本当の技術を楽しもうと思ってきた人は果して何人あったのかと思えるほど。得点が開いてくるとカメラマン席に、うしろからこぶし大の石がとんできた。全くおとな気ない。

 七万人近い大観衆は新記録というが、本当にサッカーを楽しめるファンがふえてこそのブームといえるのではないか。現状は節度のない観客がブームに先行しているような気がする。外国でも、サッカーには暴動がしばしば起る。だからといって日本が、これをまねることはあるまい。マナーの点で、サッカー・ブームもいまだしといえようか。”

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