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1961年度から小学校の正課体育にサッカー導入

『朝日新聞』1960年5月23日付

学校体育
   鍛錬主義に切り替え

小学生にサッカー
   高校は必修単位ふやす

教育課程の改訂にともなって、来年度から小、中、高校の体育の指導が強化される。教育課程といえば、これまで児童・生徒の基礎学力に関心が集まっていたが、文部省では学力と並行して体力の向上をはかるため、これからの学校体育をいわゆる“鍛錬主義”の体育に切りかえていくという。このため小学校の正課にサッカーをとりいれ、中学、高校ではサッカー、ラグビー、相撲、柔道、剣道などの種目をさかんにし、高校男子は三十八年度から体育の時間をふやすなど、体育科の内容はかなり手直しされる。

青少年の体位は、年を追ってよくなり、さる二十八年には戦前の水準を越えた。現在二十歳と五十歳の者について身長、体重を比べると、二十歳の方が身長で男四・五センチメートル、女六・三センチメートル、また体重で男一・六キログラム、女二・六キログラムも上回っている。(三十四年度文部省学校衛生統計)。スポーツの普及で走ったり、とんだり、投げたりの運動能力もおおむね伸びている。

しかし問題は、体格がよくなった割には、持久力や意志力の点が物足りない、というのが関係者の意見だ。そこで新教育課程による体育科のねらいとして①集団スポーツを通じて、責任と協力の態度を育てる②どれかひとつのスポーツを身につけ、卒業後もつづけられるようにする③高校男子は心身を鍛えるようなはげしい運動種目をとりあげるべきだという。

文部省では、このような目標にあわせて、体育科の改訂と教員の再教育を進めているが、そのあらましは次のようだ。

▽新しい体育科の内容 小、中、高校に一貫性を持たせるとともに、運動種目の配分について一定の基準を示す。体操、陸上競技、球技、ダンス、水泳(柔道、相撲)など、いろいろな種目に親しませるが、このうちサッカーを小学校から採用するのが目新しい。

“簡易サッカー”とよんで、一チームの人数は六-八人、規則も簡単にして機敏な運動能力を養成するが、ヨーロッパ各国で“国技”のサッカーを、日本でも普及したいといっている。

高校体育科の内容は、六月中旬に発表されるが、男子の必修単位が現行の七単位から九単位に引き上げられる。したがって時間数がふえて、全日制高校の場合、一学年で毎週四時間、二学年三時間、三学年二時間となる予定。

女子は高校で発育のピークに入るが、男子は二、三年おくれるので、運動量をふやし発育を促進する。

▽教員の再教育 新教育課程への移行に備えて昨年から小学校教員の講習会をはじめたが、ことしは七月から八月にかけて中学校教員の地区別講習会を開き、来年は高校の講習会にうつる。

中学の体育教員は全国で約一万一千人。このうち高校はみんな免許状を持っているが、中学教員の三分の一以上は無免許というのが実情である。

専任教員がいないので、体育は遊びという学校も少なくないという。文部省の指導もおくれていたが、このほど小、中校用のくわしい指導書ができあがった。なお女子の体育は、リズム・ダンス、バレー・ボール、テニスなど、女子向きに工夫するが、流行の“美容体操”もとりいれるよう指導するという。

文部省体育局の話 “鍛錬主義”といっても、戦時中の「体錬科」とはねらいがちがう。体育の指導に計画性をもたせるのだ。同時に施設、設備の不足をすみやかに解消しなければならないと考えている。”

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